現場で起きやすい課題
受注生産は案件ごとに仕様・工程・所要時間が異なるため、標準品のような一律の管理が難しく、進捗や原価が担当者の頭の中や個別の紙の指示書にしか記録されていないことが少なくありません。その結果、納期直前になって遅れに気づいたり、完成後に材料費や工数を集計して初めて赤字案件だったと分かったりするケースが起こります。複数案件が同時進行すると、この見えにくさはさらに深刻になります。
最初に整理すること
最初に着手したいのは、案件ごとに工程を区切り、それぞれの進捗状況を関係者が同じ場所で確認できるようにすることです。特別なシステムでなくても、案件番号ごとに工程の完了・未完了を記録する表を全員が更新する運用にするだけで、遅れの兆候に早く気づけるようになります。あわせて、材料費や外注費、作業時間を案件単位で記録する習慣をつけると、原価の実態が見えてきます。記録は工程の切れ目ごとにこまめに残すのが定着のコツです。負荷が大きい工程や遅れやすい工程が分かれば、次の受注時の納期設定にも活かせます。
光の道具箱で広げる改善
進捗と原価の記録が積み上がると、見積時の想定と実際の差異が案件横断で比較できるようになり、見積精度の改善につながります。特に工数が想定より膨らみやすい工程や、原価率が高くなりがちな仕様のパターンが見えてきたら、次の見積作成や工程設計に反映していくと、案件ごとの採算のばらつきを徐々に小さくできます。記録を蓄積し続ける姿勢そのものが、経営判断の質を高めていきます。地道な記録の積み重ねが、勘に頼らない受注判断への土台となります。次の見積もりを作る際に過去の実績を参照できる状態こそが、精度向上の近道です。


