現場で起きやすい課題
この分野の現場では、ドライバーの経験や勘に頼った配車調整、荷主ごとに異なる問い合わせへの対応、日報や請求書類の作成など、属人化しやすい業務が数多く存在します。人手不足が深刻化するなか、限られた人員でこれらをどう回すかが共通の悩みになっています。取り組みの入り口としては、配車そのものを自動化するのではなく、過去の配送データを整理して傾向を把握する作業や、荷主向けの定型的な回答文の下書き作成といった、判断の負担が軽い業務から着手するのが現実的です。
最初に整理すること
実務では、よくある問い合わせへの回答例をAIに整理させ、担当者が状況に応じて手直しして返信するという役割分担が取り入れやすい形です。配車計画についても、いきなり自動化を目指すのではなく、まずは配送実績や車両稼働状況をデータとして見える化し、ベテラン担当者の判断根拠を言語化する取り組みから始めると、後の仕組み化がしやすくなります。荷物の内容や配送先といった取引情報を外部サービスに入力する際は、取引先との守秘義務に反しないか、また個人情報が含まれていないかを事前に確認しておくことが欠かせません。
光の道具箱で広げる改善
物流現場でAIを活かすには、最終的な配車判断や安全に関わる部分は経験者の目を通すという前提を保つことが大切です。定型的な問い合わせ対応や書類作成の負担を減らせれば、その分をドライバーの安全管理や荷主との調整といった、人でなければ難しい業務に充てられます。導入後は、どの業務で何時間削減できたかを記録しながら対象を広げ、現場の負担がどう変化したかを月次で振り返るとよいでしょう。まずは日報作成や定型回答文の下書きなど、負担が大きく判断の軽い業務を一つ選び、二週間ほど試してから効果を見極めることから始めてみてください。



