調査・研究レポートReport

投稿日:2019年7月21日

教員免許更新講習「教育の最新事情」を受講して

今日は久しぶりに教員免許更新講習がありましたので三重大学の教育学部まで行ってまいりました。

本日の講義は2名の先生が午前と午後で入れ替わってご担当されておりましたので、それぞれについて簡単に振り返ってみたいと思います。

午前/伊藤敏子先生の講義

午前中の担当教授は伊藤敏子先生でした。

「モンスターペアレンツ」に対してアメリカでは「ヘリコプターペアレンツ」、イギリスでは「フォーリナーペアレンツ?(ちゃんと聞き取れなかった)」と言うそうです。言葉は違えど、日本国内で顕在化している教育上の課題というものは概ね海外にも同じような問題として浮上して生きているということでした。

さて、伊藤先生の本日の講義の担当領域は以下についてです。

教員として子ども観、教育観等についての省察(国の教育施策や世界の教育の動向を踏まえて)

広義の内容を完結にまとめるとすると以下の丸項目となります。

学力向上の目線

三重県と日本の学力

三重県って日本語教育が必要な児童生徒数なんと全国1位らしいです。私も知らなかったのですが、外国籍の方が日本で一番多い県だったんですね。

それから、三重県教育ビジョンというものを掲げて、全国学力・学習状況調査で2019年の実績値として全国平均を8科目以上を目指すというものを掲げていたようですが、2015年実績では、全国平均を上回る科目数はなんと0。2018年でも1科目に過ぎないというあまり成績が良い感じではなかったようです。もう1~2週間程度で今年の結果がでるようですね。

ただ全国的な学力の格差というものは年々少なくなっているようですが、秋田県や福井県など、優秀な県というのは毎回同じようですね。

国際的な学力調査の紹介
  • IEA 国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)
  • OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)
フィンランドと上海の取り組み

フィンランドは、協力体制、多様性によるグループ活動での教え合い、教師の自由度が高い、補習授業が当たり前に行われており、別予算で講師が担任とは別のようです。

上海は都市圏の高学力校と農村部の低学力校をペアにして、高学力校が低学力校を支援するという枠組みで成果を出したそうです。

上記二つの国と地域はそれぞれ違う枠組みですが、それぞれのやり方で教育上の成果を出しています。

心の教育の目線

文化格差緩和への挑戦ということで以下2つの事例をご紹介いただきました。

  • オランダの取り組み/イエナプランの紹介
  • フランスの取り組み/哲学の教育

上記は2つともアクティブラーニングの要素がどちらも強く、グループ活動による対談や討論のような形式での授業を行っていたようです。

上記2つの国はどちらも移民を多く受け入れているため、文化の違う子供たちが集う学校においてうまくやる方法というものを模索してきたようです。その状況下においてそれなりの成果を出しているというところでスゴイ!ということでご紹介いただきました。どちらも今どきの新しい教育手法を取り入れていますね。

なお、三重県は心の教育≒自己肯定感(自分のことが好きかどうか)については良い結果を出しているようです。目標値である6ポイントの上昇を達成しています。

伊藤先生のオススメ書籍

日本の15歳はなぜ学力が高いのか?:5つの教育大国に学ぶ成功の秘密

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午後/須曽野先生の講義

須曽野先生の講義については以下の構成でした。

上記写真は須曽野先生のFacebookよりお借りしました。先生は旅が好きとおっしゃられていましたので、海外に旅行によく行かれるようですね。

外国の学校の紹介

須曽野先生がご自身で視察されたドイツなどの学校をその時の写真を交えてご紹介されていました。

教育に関する各論

学習理論の変遷

以下の4分類についての説明。

  • 行動主義
  • 認知主義
  • 構成主義
  • 社会的構成主義

発達の最近接領域

  • 自分でできること
  • 助けがあればできること
  • 自分ではできないこと

上記のように、子供に出来るかできないかという目線で考えた場合には、3分類に分けることができます。

このうち真ん中の助けがあればできることを拡張していくことで、徐々に自分ではできないことが自分でできることに遷移していくという理論です。

マルチプル・インテリジェンス理論

以下の8分類に人間の成長領域を分類することによって、成長を細かく細分化して整理して子供を見ることができるようになるといった理論のようです。

授業を計画するにしても、以下の8分類から効果などを考えると効果的とされ、教育における思考のフレームワークとしては非常に便利な枠組みであると思います。

  • 言語的知性
  • 理論・数学的知性
  • 音楽的知性
  • 空間的知性
  • 身体運動感覚的知性
  • 対人的知性
  • 内省的知性
  • 博物学的知性

授業設計

授業は以下の3つに細分化できるとされています。

  • 効果
  • 効率
  • 魅力

上記の内、魅力については更に細分化が可能です。

ARCSモデル
  • 注意:面白そう、注意を惹く
  • 関連性:自分との関連・つながり
  • 自信:やればできる、やればできた
  • 満足感:やってよかった

まとめ

伊藤先生の講義は初めて受けましたが、数値など根拠がしっかりしているソースからの学びが多く、非常に説得力の高い講義でした。エビデンスを大切にする風潮は当たり前にアカデミックな世界にはあることだと思いますが、エビデンスがしっかりしていることによって得られる信頼感というか信用面での効果は大きいですね。

須曽野先生の講義は今回で実に3回目。先生の持ちネタというか手の内が少しずつ理解できてきたせいか、今日の講義の教育に関する理論の部分はちょっぴり眠かったです。それでも話し方が非常に柔らかくて、ご自身の行動ベースで実証されていることをご説明いただけるので学べることは多いように思います。

残すところ残り1教科となりましたが、最後の講義は情報科の先生が担当されているので一番楽しみにしています。8月の講義の日を気長に待とうと思います。

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