調査・研究レポートReport

投稿日:2019年6月24日

知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書を読んで

採用関連書籍6冊目、知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書を読み終えましたので簡単にレビューを書いてみたいと思います。本書は昔ながら日本国内で行われてきた縁故採用を現代的なキーワードで言い換えただけのようにも思われますが、著者の考えるリファーラル採用にはもう少し深みがあるように感じました。

知らない人を採ってはいけない 新しい世界基準「リファラル採用」の教科書

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著者のご紹介

著者は外資系コンサルティングファームの出身者で経営戦略や業務コンサルティングなど経営コンサルティングを行ってこられた方です。その中でも人材面に強みを持っていらっしゃるようで、人事に関する著書が多数を占めています。経歴も途轍もないのですが、著書の数も40冊を超えているようで、かなり凄腕の執筆者であるようにも感じますね。

著者プロフィール

白潟 敏朗(しらがた・としろう)

リファラルリクルーティング株式会社 代表取締役社長。白潟総合研究所株式会社 代表取締役社長。1on1株式会社 代表取締役社長。

1964年神奈川県三浦半島油壷生まれ、宮崎県宮崎市青島育ち。埼玉大学経済学部経営学科を卒業し、1990年に監査法人トーマツに入社。経営、戦略、業務、IPOのコンサルティングを経験。1998年からISOコンサルティング会社・審査会社の立ち上げ。2006年にトーマツイノベーション株式会社設立、代表取締役社長に就任し、7800社のお客様に入会いただいた定額制研修イノベーションクラブで中小企業の人材育成にイノベーションを起こした。

2014年10月に独立し、白潟総合研究所を設立、2017年にリファラルリクルーティング株式会社、2018年に1on1株式会社を設立、現在に至る。

『上司のすごいしかけ』『売上アップのすごいしかけ』『デキる上司』『仕事の「5力」』『社長、御社の「経営理念」が会社を潰す!』『幹部に言えない社長の悩み解決大全』(以上、KADOWAKI)、『できる上司は「なんで?」を言わない』(PHP研究所)ほか、著書は40冊を超える。

(白潟総合研究所ウェブサイトおよび本書より引用)

書籍の内容

第1章 リファラル採用とは

リファラル採用とは近年注目されているダイレクトリクルーティングの1種であり、従来からの縁故採用のことを指しています。リファラル採用は米国においては8割以上の企業が採用しており、現在主流の採用手法となっていると言えるでしょう。リファラル採用に取り組まないことは重要な採用チャネルを活用していないことになってしまうため、採用活動を始めるにあたってまず一番最初に検討を行うべき重要な手法としての位置づけです。

リファラル採用のメリット

著者はリファラル採用のメリットについて以下に要約しています。

  • 採用コストの大幅な削減
  • 社長と会社に合う人材の採用
  • 入社後の社員の定着率の向上
  • 会社の魅力と課題の見える化
  • 会社の魅力の継続的向上
  • 幹部と社員が経営者目線をもつ
  • みんなの心が1つになる

著者が提起しているリファラル採用は単純な紹介による採用ではありません。組織一丸となって特定の手順とルールに従って取り組む新しい採用手法です。リファラル採用のわかり易いメリットとしてはコストの削減などがありますが、効果はそれだけではありません。その取り組みの過程で得られるものはとても多く、社員の教育面での効果や会社組織に属する人員の一体感の醸成などにも効果があるとされています。

リファラル採用のデメリット

著者はリファラル採用のデメリットについて以下に要約しています。

  • 採用できるまでに時間がかかる
  • 1年以内の大量採用には向かない
  • 活動してくれる社員に負荷がかかる
  • 採用を間違えた場合に辞めさせづらい
  • 今いる社員以上のレベルの人材は採用しづらい

当然ながら人づてに採用を行うわけなので、類は友を呼ぶということで現状の社員以上のレベルの社員の採用は難しいとされています。また人間関係を壊すことにもつながりかねないのでやめさせることなどが困難を極める場合も多いでしょう。人間関係ができていることが諸刃の剣にもなり得るということを認識しておく必要がありそうです。

また、社員紹介によって人間関係を強めていく過程をたどる必要があるため、採用に至るまでに幾度とないアプローチを重ねながら少しずつ人間関係を深めていくことが必要です。そのため採用に至るまでにかかる期間は一般的に長期間必要となります。これによって短期間に大量の採用を行う場合などには、リファーラル採用だけに頼るのではなく、他の手法と組み合わせた採用を実施したほうが良いかもしれませんね。

リファラル採用のリスク

リファラル採用のリスクについて、著者は以下のように要約しています。

  • 友人・知人不採用による社員と友人・知人の人間関係悪化
  • 同一職場での仕事による社員と友人・知人の関係悪化
  • 友人・知人退職時の社員のモチベーション低下
  • 社員紹介の報奨金欲しさで会社に合わない友人・知人紹介
  • 良くない派閥の形成

社員との人間関係が構築されているため、知人・友人関係にある片方の社員が辞めるタイミングで心理面への何かしらの悪影響がある可能性が高いとされています。徒党を組んだり、派閥が生まれる可能性もあるためコントロールが難しい点も問題です。ただ、人間関係や力関係をある程度コントロールできる前提であれば、強固な人間関係でつながっている人材を獲得できるわけなので、悪いことばかりでもないと思います。要するに諸刃の剣です。人間は怖く難しい生き物ですね。

第2章 リファラル採用に成功するためには

著者はリファラル採用には以下の6つの成功条件があると要約しています。

  • 間違えないリファラル採用の推進方法の設定
  • 3つの前提条件のクリア
  • 社長の本気度と率先垂範
  • 小さな成功からスタートし大成功へ
  • リファラル採用プロジェクトメンバーの気になる課題の解決
  • 持続的成功の3条件のクリア

3つの前提条件とは以下の内容です。

  • 社長と会社を好きな社員がいる
  • 嘘をつかない
  • 社長が耳の痛い提案を聴ける

持続的成功の3条件とは以下の内容です。

  • アピールブック
  • リファラル採用の仕組み構築
  • 社長目線のリクルーター

上記を眺めているとわかってくると思うのですが、何はなくとも社長が魅力的で率先垂範による強烈なリーダーシップが絶対的に必要だとおっしゃられています。そして社長自身のことを好きな社員がいることや、社長自身が社員の意見をきちんと受けとめることができることなども必要な条件とされています。社長の人間力がなければ絶対に成立しない内容なので難易度もそれなりに高い採用手法であることがわかります。気軽にリファラル採用といっても、そう簡単に成功にこぎつけることはできない手法なのかもしれませんね。難易度は低くありません。

第3章 リファラル採用の進め方

リファーラル採用の進め方については具体的には以下の手順を辿るとされています。

  • 欲しい人材像の設定
  • 人脈の棚卸
  • 運用ルールの設定
  • 魅力の設定
  • 課題の設定
  • 社長と社員の夢計画
  • アピールブックの作成
  • リファラル採用の仕組みづくり

上記を眺めているだけでも結構手順があるので、実施までの準備段階として取り組む内容が結構なボリュームであることがわかります。リファラル採用を行うにあたって、社員間での共通認識を持つことも必要ですし、魅力を訴求するためのツールの作成なども必要です。実際に求職者との接点を持つ段階になればどのような手順で面会をセッティングするのかなどもすべて事前に流れを想定しておく必要があるでしょう。

第4章 リファラル採用の成功事例

第4章の成功事例では、第3章の流れに沿った実際の顧客案件における流れを説明しています。アピールブックや各種設定の内容の資料もあるためどのような前提条件を作っていく必要があるか学ぶことができます。特に会社の魅力を洗い出して定義していくプロセスは会社によって内容が全然違うので、会社によって様々な強みがあるということに触れることができますし、どのようなことが強みとして挙げられるのかを学ぶことができます。会社の強みから抽出された運用ルールがどのようなものになるかも列挙されています。

まとめ

結局のところ、人と人とのつながりを作り、ご紹介によって採用を行っていくリファラル採用が現代における主流の採用手法であることは間違いありません。私自身も個人的に現在エンジニアの方を募集してはおりましたが、名古屋のトライデントの先生にご挨拶に行った5月から1ヶ月あまりが経過した現状でようやく先生からご紹介をいただけるに至りました。

学校の先生との関係を大切にしながらご紹介に繋げていくそのプロセスを考えると、まさにリファラル採用そのものです。エンジニアのように母数が劇的に少ない職種の採用における最適解は結局は知り合いを経由して採用するリファラル採用だと言い切れるのではないかと今回結論が出ました。このことについて、最近では以下のようなツイートもありました。


上記にもあるように基本的にはやはりリファラル採用が有効であると言い切れそうです。全くの新規の方との関係を1から構築していくよりも、ある程度関係のできている方との信頼関係を生かした紹介による人間関係作りの方が当然ながら様々な意味で確度の高いものにはなりそうです。ウェブ経由での全くの新規の方を集客しようと考えてはおりましたが、現実はなかなか厳しいということを思い知らされております。

業種業態によっても有効な採用手法は異なるのかもしれませんが、どのような業種業態においても有効なリファラル採用を活用しない手はありませんので、今後もリファラル採用を推進するためのツール作りなども進めていきたいと思います。私の場合には、このブログも自社の魅力発進の一環として有効に機能していると考えておりますので、この先もっともっと魅力を伝えられるような取り組みを強化していきたいと思います。

本書も非常に読みやすい書籍ですので、興味があればぜひ手に取ってみてくださいね。このレビューは目次の内容を舐めているだけなのでアウトラインだけしか触れていません。しっかりと内容を学んでいただければすぐにでも自社の採用に活かせることは間違いないと思います。

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