調査・研究レポートReport

投稿日:2019年5月20日

ウェブ企業のよくある事業とその選定基準

私を含めたウェブ系のIT企業のよくある事業とその選定基準について今日は書いてみたいと思います。

この記事は私自身がウェブ企業として成長していきたい道筋を精査して、自分自身の今後の行く末を判断するために整理したものです。

ウェブ企業のよくある事業

ウェブ企業のよくある事業としては以下のような事業があります。

  • 受託開発制作(コンサルティング等を含む)
  • 勉強会やセミナーの主催
  • 自社EC運営
  • 自社プロダクト販売
  • 自社メディア運営
  • 自社サービス運営
  • コワーキングスペース/レンタルオフィス運営

それでは個別に見ていきましょう。

受託開発制作(コンサルティング等を含む)

受託開発制作とはクライアント企業の課題を解決するためにクライアント企業から受注してウェブサイトや業務システムなどを開発制作することを指しています。主に完成した時点で直接的なお金に結びつくため多くのIT企業ではこちらの事業を行っていると考えることができるでしょう。

細かく分けるとすると以下のような事業に細分化できます。

  • ウェブコンサルティング
  • ウェブサイトの制作
  • ウェブサイトの運用
  • システムコンサルティング
  • 業務アプリの開発
  • 業務アプリの運用

受託開発のメリット

単発で手切れが良い案件が多いため作りっぱなしで責任を開放されるケースが多いということが言えるでしょう。当然ながら継続的に運営していくためには継続的な予算が必要となるケースが多く、その都度必要な分だけ追加開発として費用をいただける点も評価すべきポイントであると思います。クライアントによっては運用案件として予算化できるため、継続的な利益も見込めます。

受託開発のデメリット

特に地域の中小企業を顧客とする受託開発制作の事業を中心とする場合には、基本的に単発案件が多いため継続的な利益にはつながりにくいと考えることができます。そのため毎月1から売り上げを積み重ねていく必要があり、営業コストがばかにならないというデメリットがあります。受託の事業を中心で運営している場合には、情報発信などが難しく営業面でのシナジーを発揮しずらいため、通常は何か別の事業を抱き合わせる場合が多いです。そうしないと営業面での効率が非常に良くない状況に陥りがちです。

勉強会やセミナーの主催

勉強会やセミナーの主催を行い、それらへの参加費を徴収する形で収益化を図ることができます。誰か有名な人を講師として読んでくる場合にはそれ相応の報酬を支払う必要があるのですが、その場合には当然ながら協賛を募ったり、仲間内で持ち出しで予算を補完したりする必要性があるでしょう。集客面の課題としても、そもそもどのように集客するのかということやレベルの異なる客層を集客した場合にミスマッチが起こって参加者が集まりにくいといった問題を抱えています。特に人数の限られた地方においては、定員を集めることが非常に難しく運営自体の難易度が非常に高いと思われるため、集客上の課題をいかにしてクリアにしていくのかということが最重要ポイントになるかもしれません。

勉強会やセミナー主催のメリット

勉強会やセミナーを主催すると勉強したい人が集まってくるわけなのですが、勉強したい人はおのずと意識が高い場合が多く顧客と見立てた場合にもホットリードになる可能性が非常に高いと言えるでしょう。そうした場合に、直接の顧客につながっていく場合も多いと考えられます。

オンラインセミナーなど物理的な制約を取り払った場合にはより多くの顧客を相手にすることができるため、収益効率が上がり、参加者を集客するための敷居は一気に下がります。物理的な勉強会・セミナーなど出会いの場としての意味合いは薄まりますが、収益を上げるための事業と考えた場合には合理的なのでうまく使い分けるとよいと思います。

勉強会やセミナー主催のデメリット

やはり集客面の難易度の高さが問題にある場合が多いと思います。特に地方都市における勉強会の主催は特別なノウハウが必要になる可能性も否定できません。

自社EC運営

ネットショップを自社で立ち上げて運用する方法です。

自社EC運営のメリット

ECのメリットは技術的な敷居が低いことです。そのため技術を持たないメンバーでもそれ相応の品質で仕事ができる経験のあるメンバーがいれば単純作業で完結できるために事業として回すことが可能です。売れれば売れるほど売り上げは比例して増えていきます。広告費をかければかけるほど売れる仕組みが構築できてしまえばあとは時間と共に売り上げはうなぎのぼりに増えていくでしょう。

自社EC運営のデメリット

ネットショップの立ち上げはそこそこの期間とコストで実現できますが、運用が非常に大変です。販売したら販売しただけ梱包して発送する必要があるためです。たくさん売れればたくさん売れるほど業務量が爆発的に増えていくため運用コストが爆発的な量になる可能性が否定できません。きちんとした運用体制を作ってから取り組まないと発送ミスなどが多発し、自社の評価を下げる原因になってしまうでしょう。

自社プロダクト販売

自社プロダクトとは、例えばWordPressのテーマやプラグインを開発して販売するといったことが当たります。

自社プロダクト販売のメリット

自社プロダクトは一度作ってさえしまえば継続的な利益を生み出す可能性があり、再利用性が非常に高いと言えます。プロダクトさえあれば、あとは打ってくれる方を見つけてマッチングさせれば事業として成り立つ可能性は高いでしょう。ストックの収益としても良い面がありますし、基本的には稼働量が少なく高付加価値を顧客に提供できる仕組みになるために稼働量対利益の額が非常に良い数値になる可能性が高いです。

自社プロダクト販売のデメリット

基本的には持ち出しで開発しないといけないためお金を生むまでのスパンが比較的長いと言えるでしょう。一度できてしまえば基本的には金の生る木としてよいことしかないのですが、完成するまでの間が大変です。ちょうどよく開発が平行できるクライアントワークなどがあれば予算を使ってだきわせて開発ができるチャンスですね。

自社メディア運営

自社メディア運営とは小さなものはブログから大きなものだと各種情報ポータルサイトまで様々です。

自社メディア運営のメリット

自社メディアを運営している企業はそこまで多くない印象です。特に地域に特化したローカルな情報サイトはまだまだ世の中には出てきていませんので地域に根差して地域の情報を扱うサイトを作ることで十分に地域における首位獲得を狙えると思います。

地域で首位を取った場合のメリットはそこそこですが、国内レベルで1位を取れた場合の利益はずば抜けて多くなるため、非常にハイリスクハイリターンな事業と言えるでしょう。国内を牛耳れるような成果を出せた場合には計り知れない利益につながる可能性があります。

また、メディア運営におけるメリットとして広告収益を得ることも可能にはなりますし、何よりも顧客に近い位置で顧客に接することができるため、顧客ニーズを理解することができるなどの副次的なメリットもあるでしょう。これらメリットを別の事業に生かすことによって新たな収益に繋げていくことなどもできるかと思います。

自社メディア運営のデメリット

記事執筆などコンテンツ制作の運用がまずは非常に大変です。それに加えて成果が出るまでに膨大な時間と労力を割く必要があります。成果が出るまでの間、長期間にわたって投資を続ける必要があるため難易度は高めです。加えて成果が出るような文章や動画の制作を継続する必要があるためコンテンツ制作能力が低いと基本的に成立しません。クオリティを担保しなければならないという意味では外注化する場合にも相応の対価を支払う必要があるでしょう。

自社サービス運営

世の中の人々の役に立つツールなど、各種ウェブサービスの運営を指しています。

自社サービス運営のメリット

一定の機能の反復して複数の方に提供することができるため、利益効率は非常に良いと言えます。機能を継続的に強化し続けて価値を高め続けることによってユーザーを逃がさない工夫に加えて、継続的なユーザーの獲得を行うことで利益もどんどん増えていくことでしょう。

自社サービス運営のデメリット

サービス利用いただくにあたっての品質担保の問題はなかなか難しく、確実にユーザーに価値を届けるための工夫が必要になります。品質が安定しない場合にはユーザーの離脱につながる可能性は高いでしょう。運用体制を確立し、十分な品質を担保することが最重要課題となります。

また、サービスの立ち上げを行うまでの間、一切に利益を生みませんので投資としての時間とお金が必要になります。サービスを公開できたとしても世の中に認知させる工夫も必要なので、莫大な広告費をかけてプロモーションヲ行うなど露出させていくための様々な工夫を凝らす必要があります。

メディアと同様に収益化までの道のりは長く険しい事業であることには変わりはありません。

コワーキングスペース/レンタルオフィス運営

コワーキングスペースやレンタルオフィスなど、地域の方々に働く場を提供するビジネスです。

コワーキングスペース/レンタルオフィス運営メリット

コワーキングスペース運営の最大のメリットは、地域で働く方々との接点を作り出せる点にあります。ビジター利用として広く門戸を開いておくことによって地域で働く方々を立ち寄らせることができれば、会話をする接点にもつながり、そのまま仕事に発展するといったことはよくあることです。

勉強会や交流会などで出会いを求めることは鉄板の戦略にはなるかと思いますが、それ以上にコワーキングを運営するだけで十分に出会いの場を創出することが可能です。会議室やセミナールームなどの貸し出しにおいても同様です。

コワーキングスペース/レンタルオフィス運営のデメリット

ビジター利用によるコワーキングスぺースを運営するためには人が集まる場所に出店する必要があるため、必然的に大きな都市の駅前など人が集まりやすい場所で事業を展開する必要があります。不特定多数の方々に向けて開けた状態を維持するためには店番が常に必要になるため、人件費もかさむ傾向にあると言えます。そのため、コワーキングスペースの事業単体では利益に繋げていくことは難しいでしょう。広告としての情報発信力には通じるものがあるため情報発信の面では有利な分、無駄な費用が大きく膨らんでしまう傾向が強く、地方都市での運営は難しいです。

そのためレンタルオフィスなどクローズドな運営になりがちです。クローズドな運営になってしまうと多くの方々との交流の場としての役割は果たしにくく、従来のコワーキングとしての役割、すなわち人と人との接点を生み出す役割を果たすことは難しいでしょう。

セミナールーム運営

勉強会や交流会を開催するためのセミナールームの運営です。

セミナールーム運営メリット

セミナールームを保有することによって勉強会にかかる費用を押さえることが可能となります。一般向けに貸し出しを行うことによって多少の収益化を図ることも可能でしょう。利益というよりかは、建築費を多少ペイできるという程度かもしれません。

大きさによっては様々なイベントスペースとして利用することも可能です。

セミナールーム運営のデメリット

人に何かを教える事業やセミナー、勉強会を主軸として事業を行っていく場合には良いかもしれませんが、制作などが主軸となる場合には持て余す可能性が高いでしょう。特に地方都市においては、利用者もそこまで増えないことが想定されます。

各事業の運営難易度と利益の大きさのバランス

利益の大きさの順番に並べると次のような順番になると思います。(事業の中身によっては順番が変動します。)

  1. 自社サービス運営(準備・開発期間長/投資額大/利益大/運営コスト大/高回転)
  2. 自社メディア運営(準備・開発期間長/投資額大/利益大/運営コスト大/高回転)
  3. 自社プロダクト販売(準備・開発期間長/投資額大/利益中/運営コスト少/高回転)
  4. 勉強会・セミナー運営(準備・開発期間中/投資額中/利益中/運営コスト大/高回転)
  5. 自社EC運営(準備・開発期間中/投資額中/利益大/運営コスト大/高回転)
  6. 受託開発制作(準備・開発期間無/投資額無/利益中/運営コスト大/高回転)
  7. セミナールーム運営(準備・開発期間大/投資額大/利益少/運営コスト少)
  8. レンタルオフィス/コワーキングスペース運営(準備・開発期間大/投資額大/利益少/運営コスト大)

まとめ

ざっくり全体をまとめると以下のようになります。

最終的に大きな利益を狙っていくためには自社サービスやメディアなどを狙っていくのが最終的に利益額は一番大きくなりそうです。この辺りの事業は莫大な顧客を相手にすることが可能なため、集客展開さえうまく行けば費用対効果は非常に良いと言えます。

勉強会・セミナーの事業は人に依存するためにそこまで伸びはしませんが、実際に工数に対する費用対効果は割かし良い方だと思います。

自社EC運営は売れれば売れるほどオペレーションコストがかさむため運用体制の確立が必須です。体制がないまま事業を始めると梱包作業に明け暮れることになるでしょう。

受託開発制作の事業は目先のお金にはなりますが、あとに続いていくものが少なくストックにならないためできるだけ減らしていく方が事業としての方向性は正しいと思います。あえて開発制作に特化することで、高単価を取りに行く戦略もあります。

セミナールームやコワーキングなどの事業は単体では利益につながりにくいため他の事業とのシナジーを発揮させる必要があります。

これらの事業を組み合わせてIT企業としてどのような事業を展開していくかは企業によって様々です。リソースや経験ベースで何が得意かを考えて、他社よりも優位に立てる事業を選択していくのが良いかと思います。手っ取り早く稼げる事業もあれば利益を生むまでの期間が長く投資が必要な事業もありますので、よりてっとり早く稼げる事業から始めて徐々に準備を進めながら高収益な事業へと徐々に寄せていけるとよいですね。

FLARESへのご相談・ご依頼

制作依頼・サービスについて不明な点ございましたらお気軽にお問い合わせください

資料ダウンロード

会社やサービスに関する資料ダウンロードをご希望の方は右の資料ダウンロードページからご利用ください。

採用情報

採用応募をご希望の方は応募フォームからご応募ください。

採用サイトへ