投稿日:2019年2月16日
ウェブ解析士協会事例発表会「第29回 自社サイトをコストで終わらせないために」に参加して
こんばんは、ここ最近は上級ウェブ解析士の方が開催のセミナーをはしごしていたFLARESの山口です。
今日は名古屋で開催のウェブ解析士協会の方々が開催されている事例発表会のセミナーに参加してきました。自分とバックグラウンドの違うスゴイ人たちがたくさん集まっていてものすごく勉強になりましたが、こんなことがためになった!ということを今回は書いてみたいと思います。詳しい内容は直接ご本人にお問い合わせいただいた方がいいと思うので詳しくは書きませんが、インスピレーションに残っていることをいくつか挙げてみたいと思います。
各セッションの感想
1人目:二村勇輔さん
今回この勉強会にお誘いいただいた二村さんとは、去年の春頃に実施された名古屋IT飲み会で知り合ったのですが、そこから一緒にお仕事をさせて頂いたり、ご飯を一緒に食べる時間を共有させていただいたりと良くしていただいています。
僕自身は営業職というものを経験したことがないので、二村さんが過去に経験されてきたインサイドセールスや対面での顧客折衝、またウェブサイト制作における制作ディレクションなど、とても尊敬できる面がたくさんある方なのに加えて、最近ひそかに執筆活動を頑張っているということで僕が進みたい道の一歩先を行く先輩的な側面もある方です。
そんな二村さんにテレアポのノウハウをしゃべってもらうともうこれがすごくて止まらない上にノウハウがぎっしり詰まっているということを知っているのですが、テレアポという行為自体が顧客起点ではないということで、顧客起点を基本とするマーケティングについて学ぶためにウェブ解析の世界に足を踏み入れたとのことでした。
私が現在取り組んでいるブログ執筆によるSEOの実践においてはGRC(検索順位を調査するツール)の話で盛り上がったり、おすすめの書籍をご紹介いただいたりと非常に良くしていただいています。
「若手に伝えたい!制作におけるコミュニケーションコストを削減するために~ディレクターの失敗談から話す、厳選4パターン~」
セッションの内容ですが、ウェブ制作ディレクションやより営業よりの顧客折衝において、気を付けるとスムーズにプロジェクトを進行させることができるポイントについてコミュニケーション起点でご説明されていました。過去にお勤めされていた会社で同時に担当されていたアカウントの数は150社ということで自分には想像もつかない世界なのですが、その大量の顧客との折衝経験から失敗談を抜粋してどうすべきかいいかを示していただいているとても実践的な内容でした。
正直本に書いてあることだけでセッションが終わるというのはナンセンスだと感じていて、より実務に近いところから現実に即した形で経験を交えてご説明いただけるものはリアリティがあって聞いていてすごく面白いですね。僕自身も最近は少しずつお客さんと直接仕事をする機会も増えてはきているので、今回の内容を肝に銘じてトラブル防止に努めていきたいと感じています。
2人目:蟻川 悠貴さん「小売業界におけるOtoO施策~来店の可視化と今後の展望~」
スポーツ小売業のアルペンでウェブマーケティングを担当されている蟻川さんの話は、僕では絶対に経験しえない大きな企業の実際の現場の話をリアルな数字を交えてご説明いただくことができました。Googleのリアル店舗への来店コンバージョンを測定する仕組みを導入される過程や、「広告費<売上」という優れたビジネスモデルの中で運用されている広告のチューニングのノウハウなどが盛り込まれたよりウェブマーケっぽい内容のセッションになっていました。
正直なところアルペンみたいな大きな企業のウェブマーケティングの現場での経験を積ませていただけると声がかかるならすぐにでもやってみたい!と返事をしてしまいそうですが夢のまた夢ですね。Googleの最新のプロダクトの導入など、最新のデジタルマーケティング事情にも詳しくなることもできるし、実際に一定額以上の出稿金額が必要な領域になってくると試せる組織のサイズを持っている企業が本当に限られてきますからね。マス媒体のごとく全国的に投下される検索連動型広告やディスプレイ広告、動画広告など、その数字を追いかけることができるとか羨ましすぎていいなぁ…楽しそうだなぁ…という気持ち全開でお話をお伺いしておりました。
3人目:亀井耕二先生「説得力のある分析レポートにするための実践テクニック」
上記2名もすごかったのですが、ウェブ解析士協会において、中心的なポジションにいらっしゃる中小企業診断士でもある亀井先生のセッションはこれがまた面白かったんですね。
登壇する人の性格とか強みってものがにじみ出てくるのが自然なところだとして、亀井先生の強みは「知識の引き出しの多さ」が一つ上げられるんじゃないかなと思いました。セッションの中で出てきた統計データの数が半端ない。これはこのレポートに乗っている数字で、これはこのレポートに乗っている数字で…といった感じに世の中を数値で理解しているということが非常にすごいと思いました。事業を展開していく上で重要になることとして、世の中の形をより正確に把握することは必要だと思いますが、業種別や業務別にどんなデータがどのレポートに乗っているかということをすごくたくさん知っているんですね。これがコンサルタントってもんか…と改めて認識しなおすきっかけにもなり、自分の実力の無さを改めて実感するキッカケになりました。
まさに専門家というよりはゼネラリストです。ゼネラリストといっても各領域の知識レベルは並の専門家レベルを超えていて、「広く浅く」というよりも「広く深く」という言葉が合うんじゃないですかね。私も中小企業診断士の資格にトライしたことがあるのですが、1年間インプットを続けたところでボリューム多すぎ!ってなって挫折した過去があります。亀井先生は診断士以外にも持っている資格の数が半端ない。企業経営において各領域一定の専門家レベルの知識を非常に幅広く備えているのに加えて、自身がエンジニアであった過去を強みとしてWeb・ITの領域に強みを持っているといった印象です。
で、ウェブ解析士マスターの試験の評価も担当されているということで、その実技試験であるレポート作成における着眼点についてわかりやすく整理して、より実践に即した形でご説明いただくことができました。この説明の内容を聞いていると診断士の2時試験の事例の時に事例を理論立てて説明するといったノウハウと同じく、前提をはっきりさせる必要性などロジカルシンキングの基礎的な内容を盛り込んだ内容となっておりました。久しぶりに診断士の先生の頭の中に触れると血が騒ぐというか、やっぱり企業経営に関する各論は楽しいもんだなぁという感覚がフラッシュバックしてくる感覚が何とも言えないのですが、自分は企業経営というよりは技術特化で今後攻めていくと決めたので「診断士よりは技術士」路線で行こうと考えています。
懇親会においては、なぜか先生の隣の席になってしまったので、先生の貴重なお時間をいただき様々なお話をお聞かせいただくことができてしまいました。「そんな未来が来るんですか!?」とか「こんな考え方もできるんですね!」をたくさん得ることができ、非常に充実した時間を過ごすことが出来ました。懇親会の時くらいもっと気を抜けと怒られそうですが「愉しむ」ということもまぁ一つの懇親会の楽しみ方かなぁと思います。
帰ってきてから気持ちだけ仕事をしようとか考えているとどうしてもウーロン茶になってしまって最近はお酒を一滴も飲んでいないのでたまには息抜きも必要ですね。
懇親会にて
さて、今日ご登壇いただいた方はこれだけなのですが、それ以外にも懇親会にてお話できた方ですごい!と思える方が多くいました。
企業の採用・広報責任者さん
ここからは登壇者ではないので名前は伏せますが、企業の採用と広報の責任者をされている方のご参加があったので、今現在僕がオンタイムで勉強しているダイレクトリクルーティングと採用ブランディングについて現実に即した形で知見が得られないかなぁということで、現場のオペレーションについていろいろ聞いてしまいました。
ダイレクトリクルーティングにおけるダイレクトソーシングが熱いということで、facebook、Wantedly、LinkedInなどの採用に向いているソーシャルメディアを活用して求職者との関係を構築していくという手法が主流になっている旨など、今どきの採用手法についてお話を伺うことができました。
後は何よりも現実との乖離をなくすという意味のブランディング活動をきちんと実施して訴求し、ミスマッチをできる限り減らすことの重要性など、本の見出しを順番に話していただくような感じで重要事項をざーーっと流して伺うことができました。本に書いてあることも事実なんだという確認にもなったし、より小さい企業の採用オペレーションに限った場合にはどうかという視点でもアドバイスをいただくことができたので、私のお客様にも今日の知見を活かして少し提案してみようかと思えました。
まずは何よりもきちんとサイトを作って訴求することが大事ってことなので、まずはサイト。次にダイレクトソーシングといった形で順番に無理のない範囲で展開していったらいいよ!と優しくご説明いただくことができました。この優しさみたいな部分が自分に完全に欠如しているところなんだろうなぁと思いつつ話を聞いていました。もっと優しくならなくては…
名古屋の大手ウェブ制作会社アクアリングの営業さん(ただしGTMのプロフェッショナル)
ウェブ企業でプロデューサーと肩書がついている職種は一般的な企業に置き換えると営業職になります。営業職だからアカウントの管理だけしているのかと思いきや、提案段階で戦略的な部分を詰めるためにGoogleAnalyticsのテクノロジーの部分までものすごく詳しく理解されていて実運用でもバンバン効果的な設定を行って成果を測定するといった凄腕営業さんから「こういう時はどういう設定するんですか?」みたいなこれまた実務に即したTipsみたいなものをセミナー会場から懇親会場への移動時間を拝借してお話を伺うことが出来ました。
何と僕のブログのGTM(Google Tag Manager)の設定をしていただけるというので、今後お願いしてみようかとひそかに考えております。僕的にも「Googleタグマネージャーの教科書」みたいな書籍を読んだっきりになっていて、普段あまり利用したことがないので、どう使いこなすのかという視点で非常に興味があるんですよね。僕のお客さんに転用できるエッセンスがあるなら、ある意味でスキルを盗みたいなぁなんて腹黒いことを考えておりました。
ちなみに三重県においてはGTMを使いこなせる人材は結構貴重だと思っています。GA(GoogleAnalytics)のトラッキングコードをサイトに貼るだけでは計測できない様々なイベントを計測するための設定について勉強させていただける良い機会になりそうです。
実際に僕がお付き合いさせていただいている三重県の中小企業様においては、そこまで解析が必要になるような規模のサイトを運営されているクライアントが多くないのが現実なので「SEOをしっかりやりましょう!」とか「もっと集客して見込顧客獲得に向けてサイト運営してきましょう!」みたいな姿勢で取り組むことができるお客様が現れるまでは活躍する機会はあまりなさそうです。でも、ある程度のレベルに達していないと経験できないサイトの解析ってやっぱり楽しいんですよね。仮説検証をはじめとして「この層が良質だから、コンバージョンを増やすにはこのコンテンツを重点的に強化して…」みたいな仕事には憧れます。
アクアリングさんは大手の企業様がお客様の場合が多いので、当然アクセスが多く当たっているサイトの運用もたくさん担当されています。そういったサイトの経験を積むには非常に良い環境だと思いますね。僕も体が二つあって受け入れて頂けるなら片方は貴重な経験の詰める企業に身を置きながら実績を積み重ねるということをもっとしていきたいところなんですが、自宅のある四日市から離れる気はさらさらないということもあって、地元四日市でできることに全力を注ぐ気持ちで今は心が決まっています。誰か「どこでもドア」とか「テレポーテーション装置」とか作ってくれればいいんですけど、なかなか難しいですよね。
まとめ
といった感じで、今日は非常に個性あるたくさんの方と出会うことができたし、それら各専門領域のお話をお伺いすることができたので僕自身は非常に満足な気持ちで帰ってきたわけです。まず一番最初の感謝したいのが、今回の会にお呼びいただいた二村さんには非常に感謝感謝ですね。
僕発信では価値をほとんど提供は出来なかったので、今日は受け取ってばかりでした。亀井先生とも話していましたが、やはりフリーランスや経営者としての基本はGiver(提供者)であることが重要とのこと。これは地域のフリーランスやいつもお世話になっている方々とも常態的に話を重ねている内容なのでなんとなく僕の体の中にも染みついてきましたが提供するためには「提供できる価値あるものを持つ」ことが必要なわけで、価値のないことは提供するに値しません。自分なんかは知識を学ぶことが好きなので診断士の先生方などと同じく「知識を提供すること」が自分の価値になる場合が多いのですが、今日においては講師という立場でもないし、非常にアウトサイダーな立ち位置なのもある上に、先輩方に知識を提供するというのはなんか上から目線な感じがして提供するにできないという状況になっていました。「詳細をきちんと理解しながらお話をお聞きして、気持ちよく価値を提供していただける状況を作る」ということが先生や先輩方に僕ができる精いっぱいの姿勢なので、とりあえず自分にできることとして今日はそんな対応を精一杯やっておりました。
ちなみに、僕が提供できることとしては「ウェブの技術」が他の方よりも多少優れている領域だと思うのですが、診断士の学習経験などが利いているのか「ビジネス会話においては、割と幅広い業種やバックボーンを持った方と会話を合わせることができる」といったところも意外と自分の強みなんじゃないかなぁなんて最近は少し感じているところでもあります。
中小企業診断士という資格
中小企業診断士って資格の勉強本気でおすすめです。この資格を1年間勉強するだけでビジネスマンとして知っていて当たり前の知識を一通り頭の中に入れることができるので、ビジネスにおける会話をするための基礎知識を養うには最適な資格だと感じています。
三重には中小企業診断士の資格のスクリーングができる学校が少ないのですが、名古屋まで出れば各社選び放題なので気に入った学校を選ぶといいのかなと思いました。ちなみに僕が通っていたのが2012年頃に遡るのですが、東京リーガルマインド名古屋校の中小企業診断士コースというところでしたね。
ここだけの話、テキストや講座内容のクオリティなどは各社様々なので実際に受けてみるまではわからない部分は結構大きいのは事実だと思いますが、口コミなどをきちんと調査してどこがいいかという評価を自分なりにきちんとすることによってより満足のいく受講になるんじゃないかなと思います。予算的には僕が受けていた時で約30万円といったところでしたね。
MBAを取得できる学校に通うよりは幾分安上がりなので、上手に活用できればコスパよく資格や知識を手に入れることができると思います。
ちなみに亀井先生は完全独学と言っていましたね。僕の情報処理技術者試験の受験は完全独学だったので、実のところ僕も独学賛成派で学校のカリキュラムに頼るよりも自分で学習の方法論を構築したほうが効率いいと感じています。
僕が考える最も効率よくインプットする方法は「自分で問題と答えを作ること」と断言しておきますので、すべての領域において漏れなく問題を作ることが一番早く効率よくインプットすることだと思います。書くだけでも無意味だし、問題と答えの対を自分の言葉で整理することの重要さというのは学習効率を上げるうえで重要な要素かなと思います。
以下にアフィリを貼っておきますのでこの記事が面白いと思っていただけて、ちょっとテキスト買ってみようかなと思える方がいらっしゃればどうぞよろしくお願いします。各論に入っていく前に導入書みたいな以下をお勧めさせていただきますね。
みんなが欲しかった! 中小企業診断士 合格へのはじめの一歩 2019年度 (みんなが欲しかった! 合格へのはじめの一歩シリーズ)
ウェブ解析士という資格
ここ最近はなんでかわからないんですが、ウェブ解析士の方々とご一緒することが非常に多いんですよね。僕自身はGoogleのベンダー特化のGAIQ(GoogleAnalytics個人認定資格)とGoogle広告認定資格の2つが現状マーケティング寄りな所有資格になるわけですが、これらはあくまでもツールの使い方の説明なので、使い方を理解した上でマーケティングの基礎的な理論、さしてはビジネスモデルの構築といったより上流の戦略立案のフェーズにおける各論と方法論を学ぶための資格としては非常に有用なのかなと思いました。
ツールの使い方を覚えるだけでも成果にはつながらないし、だからと言って僕みたいにツールの使い方だけわかってても実際のマーケティングがわかっていないとツールを使いこなせないわけです。理論をツールの設定という形に落とし込むうえである程度のバランスは必要ですが、理論を学んでおけばなんにでも応用は利きますからね。企業のウェブ担当者になった方で右も左もわからん!って方がいたとしたら、制作技術は制作会社に丸投げするとして、上流の理論をつかさどるウェブ解析士の資格は割とオススメな資格なので学んでみるものスキルアップの一つとしては有意義になるかもしれませんね。
ウェブ解析士認定試験公式テキスト2019(特典PDF付き)