投稿日:2019年1月23日
スタートアップや新規事業開発向けの商品・サービス起点のマーケティングフレームワーク「TLAANPα」
こんにちは、三重県四日市市でホームページの作成などのウェブデザインのお仕事や、フルスクラッチやKintoneなどを活用した業務アプリの開発を行っているFLARESの山口です。
今日は、自社のマーケティングの取り組みについて考え方の枠組みを超ざっくりと標準化してみましたので、自社の事例を交えつつ共有したいと思います。
普段はマーケターというよりはクリエイターやエンジニアという立ち位置の方が多いのですが、一応グロースハッカーという肩書を名乗っているので「ちょっとはマーケティングもできるんだよ!」っていうアピールになります…笑
ただまぁ、実績が豊富なわけでもないのである程度机上の空論の部分が大きいですね。大手の広告代理店のように実績が豊富であれば理論を打ち立てることも簡単だとは思いますが、そんな状況はそう簡単には得られません。そのためトライアンドエラーの繰り返しの産物でもありますし、まだまだ試行錯誤を続けている途中段階であるとも言えます。
フレームワークなんて大それた名前がついてはいますが、要は何を考えればいいかについて順番にわかりやすく並べただけのものですので、気楽な感じで構えずに読んでいただけると嬉しいです。
商品・サービス起点のマーケティングフレームワーク TLAANP α
商品・サービスの構成について集客・会社の利益を高めるための一通りの流れを整理するための枠組みとして考えていたものを、後からスタートアップや新規事業開発向けの簡易的フレームワークとして整理してみました。
想定顧客層 Target Layer
集客 Attraction
獲得 Acquisition
育成 Nurture
利益 Profit
上記に従って整理することでスタートアップの方や新規事業の開発など、自社のマーケティングについての枠組みがない状態からスピーディーに整理することを目的としています。
事業を回していく上でマーケティング的な視点から、特に「商品・サービス」という視点から整理することに長けた内容になっているので、これから何(商品・サービス)を事業として展開していくのか、そのためにはどのような取り組み(事業内容・事業の構成)が必要なのか、ということを整理するために使えると思います。
頭文字をとるなら TLAANP になるんだけど、語呂が微妙…、だけどまぁ、そういうのは気にしないでおきましょう。
読み方も無理やり「トランプ」と読むことにしました。
各項目の意味
頭文字を触れただけだとなんだかようわからんとなりそうなので簡単にご説明します。
なお、弊社の場合は基本的にウェブ集客のメソッドとしてこのフレームワークも利用するため、ウェブ集客手法を前提としたお話になりますのでその点はご注意ください。
想定顧客層 Target Layer
このフェーズは目標にする想定顧客層を明確にするための工程を指します。
ほら、ウェブサイトを作るときにも、よくターゲットが知りたいとかデザイナーさんに言われるじゃないですか。とりわけマーケティングを考える上で外せない要素としてターゲットという考え方があるわけです。更にこのターゲットは結構細分化して情報を整理することも必要になってくるので、時間をかけてじっくりと考えなければならない部分にはなります。
顧客を考える上では、マーケティングにおけるセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングといった基本的なマーケティングメソッドによれば大丈夫だとは思いますが、そこまで細かく頭で考えなくても、とりあえずはざっくりとこんなユーザー層を想定しているってところだけ考えておけば前に進むことはできますね。余力があるならペルソナを書いたりだとか、より詳細に整理しておくとよいでしょう。
顧客セグメントの種類
顧客を構成するセグメントとしては例えば以下のようなものがあります。
- 年齢
- 性別
- 個人/法人
- 業種
- 職種
- 地域
- 趣味/嗜好
集客 Attraction
「集客」とはウェブ集客上の見込顧客獲得における上流工程である存在認知から連絡先の交換など見込顧客の「獲得」の手前までを指す概念です。
ウェブ集客(見込顧客獲得/認知から成約まで)の流れを考える【2019年早春版】にも書いていますが、集客フェーズにおいて重要なのは専門性を発揮することもそうですが、それよりも人物像を理解していただいて、相思相愛になりえる人物かどうか、信頼できる人物かどうか、共感できることを訴えているかどうか、ってことが重要になってきます。集客フェーズにおいては、これらを実現するための手法について整理していけばOKです。
こちらの集客のフェーズについても広告に利用する媒体の種類や広告のクリエイティブの品質によって大きく効果が左右されますので、ひとえに集客といっても変動する要素が多いのが顧客と似通っています。主に見込顧客の発見(リードジェネレーション)から見込顧客の育成(リードナ―チャリング)における一連の流れを表す「集客」は一般的にはコストが多くかかる部分と認識されている場合が多いので、各会社や個人に合った適切な取り組み方を考えていく必要もあります。
また、ウェブ集客においては、直接会うことを飛ばして、集客のフェーズをすっ飛ばしていきなり獲得につながることは基本的にはありません。もしあるとしたら詐欺などを疑ってかかる必要があるので注意が必要です。仕事をする上で「直接会う」という工程を飛ばすのはいろんな意味で危険なので、どのような場合であっても確実に直接会うようにしましょう。
広告媒体の種類
集客を構成する広告媒体には例えば以下のような項目があります。
- キャンペーン
- テレビ/CM
- 雑誌
- パンフレット/チラシ/フライヤー
- ウェブサイト/ランディングページ
- ソーシャルメディア
- 看板/ポスター
広告媒体のクリエイティブの品質
商品名や広告媒体のクリエイティブの品質などにも大きく左右される可能性は十分にありますので、媒体の種類だけではなく、各媒体の中で扱う内容についても注意深く品質を高めることが重要だと言えると思います。
- ブランディング(CI/VI):ロゴ、キャッチ、モデル、ブランド名、キャラクター、ジングルなど
- 信用:権威、推薦、お客様の声、顧客満足度、定量的な情報など
- 顧客心理:セールスコピーライティング、PVA(脳裏にビジュアルでイメージさせること)など
獲得 Acquisition
「獲得」とは連絡先を獲得して実際に会ったり連絡を取ることができるようになった状態を指します。ある意味では、まだ成約していない見込顧客のままでも「獲得」がフェーズにあると考えられる場合もあります。
この獲得フェーズにおいては、実際に連絡先を取得するために行うべき施策を考えていきます。ウェブ集客という意味では、ランディングページの制作と広告運用などのセットが一つの施策になる場合もありますし、オンラインに限定しなければ直接会う機会という意味でセミナーや勉強会などの主催も獲得フェーズに含まれるでしょう。「獲得」によって「見込顧客」が「顧客」になるので見込顧客を顧客にするためのアクションは全て獲得と言い換えることもできると思います。
また、ウェブ集客の用語として整理すると、この獲得のことをコンバージョン(成約)とも言ったりします。成約といっても見込顧客の情報を取得した段階なのでまだ売上にはつながっていない場合もありますね。マーケティングの各論は色々で用語の整理も難しいので、都度確認するくらいの方がいいと思います。
顧客を獲得した段階では、高額商品を購入していただくまでの信頼関係がまだ築けていない場合が多いため、フロントエンド商品/ミドルエンド商品/バックエンド商品の3分類に商品を分類した場合におけるフロントエンド商品しかまだ買っていただける状況にないため、次の育成段階を通してミドルエンド商品からバックエンド商品を購入いただける優良顧客へと育成していく必要があります。
なお、この獲得のフェーズまでは複数の見込み顧客について扱っていますが、育成以降については、個別の顧客の育成の内容になりますので注意が必要です。
育成 Nurture
「育成」とは「見込顧客の育成」ではなく、「顧客の育成」を指します。
顧客が最初から高額な商品を購入してくれることはまれで、初めは購入しやすい安価な商品・サービスで関係づくりを進めていくのが一般的でしょう。信頼関係を築き上げた末に高額商品を買ってもいいと心理的な負荷がない状態にならないと高額商品・サービスの購入にはたどり着かないものです。そんな、顧客の育成に必要な商品・サービスとは何かを明確にしておくことは一つ重要かと思います。
利益 Profit
「利益」とは顧客育成の末にお客様にご購入いただく想定の商品・サービスのことです。
この利益に繋げるための商品・サービス不在の状況では、どれだけ頑張っても会社が潤うことはないでしょう。自社の強みとは何かを十分に把握し、それらを存分に生かせるフルスペックな高額商品を考えてパッケージングし、お客様に買っていただきやすくすることが一つ重要なことなのではないかと思います。
獲得の前段階である集客段階の考察については、こちらの記事にもまとめていますのでよかった見てみてください。
ウェブ集客(見込顧客獲得/認知から成約まで)の流れを考える【2019年早春版】
自社(FLARES)の事例
それでは早速自社の事例についてまとめてみたいと思います。
まぁ、主に私がやりたいことと会社の運営を利益の面で楽にしていくにはどう考えればいいのかを簡単にまとめてみました。
今回は弊社がこれから展開予定の教育に関する事業を例に簡単にまとめてみたいと思います。
顧客
- ウェブを活用する力を身に着けたい個人
- 企業のウェブ担当者
- 新米ウェブデザイナー・プログラマ
- 田舎で仲間を求める開発制作者
集客
- ウェブ経由/オンライン:自社ブログ(信用信頼・人柄重視)
- ウェブ経由/オンライン:ウェブ制作(経験者)特化ブログ(仮)
- ウェブ経由/オンライン:ウェブ制作(初心者)特化ブログ(仮)
- ウェブ経由/オンライン:ウェブ活用特化ブログ(仮)
獲得
- ウェブ経由/オンライン:教育サービスLP(初心者向け)
- ウェブ経由/オンライン:教育サービスLP(経験者向け)
- 対面:オフライン:ウェブ制作技術セミナー(初心者)
- 対面:オフライン:ウェブ制作技術勉強会(初心者・経験者)
- 対面:紹介
育成
- 対面:オフライン:レッスン(時間単価パッケージ)
- リモート:学習サポート(時間単価パッケージ)
利益
- フルパッケージ:技術習得の技術者デビュー支援サービス(初心者向け)
- フルパッケージ:成果コミット型集中型教育サービス(経験者向け)
全体の流れを整理
- 1_1.初心者向け特化ブログを作成&育成して集客
- 1_2.セミナーコンテンツとそのLPを作成してコンバージョン
- 1_3.時間単価パッケージでレッスンと学習サポートを展開して顧客を育成
- 1_4.フルパッケージの学習パッケージの成約を目指す
- 1_5.個人事業主や企業担当者はウェブ制作サービスのリードに移行、制作者は外注先候補に移行(パートナー開拓)
- 2_1~5.経験者向け特価ブログの作成&育成からの展開
弊社がお客様にご提案差し上げる内容は概ね上記のような内容になるかと思います。これを実際に現状で行っているものと組み合わせたり、兼ね合いを考えながら最適に会社のやり方にフィットするような形に変更しながら、実際のウェブサイトをお作りしたり、運用に必要なことをサポート差し上げるということが主な支援内容になってきます。
まとめ
簡単に自社の事例を交えながらご説明させていただきましたが、いかがだったでしょうか?
自社の取り組みについて整理することを助ける枠組みとして考えてみましたが、0スタートで考える場合には、現時点でも簡易的に時間をかけずに大枠を押さえるという意味では、それなりに利用価値はあるかと思います。
今回は商品・サービスを起点とした考え方のご紹介でしたが、マーケティングにおいて商品・サービスは視点の一つにすぎません。ただ、この商品・サービスという視点を差し置いて自社の事業について語ることは絶対に不可能ですので、特に重要な要素としてまず一番最初に考えるに値する内容であるとそう考えていますし、他の視点についても今後考えていく必要があります。その他、より後ろ側の獲得、育成、利益の各フェーズに関する各論の知識はまだまだ多くはありません。これらについては今後も継続的に学び枠組みをアップデートしていく必要があると思います。
顧客を維持・育成し、より強固な関係をいかにして築くか、それによっていかにしてLTVの最大化を図るかといった目線や、自分たちが持てる最大限の価値を提供するにあたって、お客様にとってどのような形で提供するのが、お客様にとっても自分たちにとっても最も利益があるかといったところで、最も理想的な最終的な商品・サービスの形はどのようなものかといった視点ではまだまだ考えが至っていないのでこれからも継続的に考えていく必要があります。そういう意味ではまだまだ未完成のα版ですが、とりあえず今の僕の実力における頭の中としてはまぁこんなところかなぁといったところです。
「考えること」自体は非常に楽しいのですが「考えたことを行動に起こして実際に実現する」ことをしなければ考える意味はあまりありませんので、自己満足の世界になってしまわないように、日々の取り組みを一歩ずつ着実に前に進めることができるように取り組んでいきたいとそう考えています。
マーケティングメンター
最後に、上記を考えるうえで有用な知見を授けてくださった私のマーケティングメンターの一人をご紹介いたします。
今回のヒントを授けてくださった方は名古屋でマーケティング関連のコンサルタントとして活躍されている株式会社アクセスイノベーション代表の加藤さんです。
株式会社アクセスイノベーション
加藤さんにご登壇いただくウェブマーケティングの勉強会も主催させていただいているので、興味ある方はお気軽にご連絡ください。
一緒にデジタルマーケティングやウェブの制作や業務アプリの開発など、勉強する時間を共有して共に成長していける仲間募集中です!
WEB SQUARE Mie [Meetup]
https://www.meetup.com/ja-JP/WEB-MARKETERS-DEVELOPPERS-SQUARE-MIE/